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活動の内容

交通事故の損害賠償基準について(2011年2月)

はじめに

 交通事故に遭うと加害者、被害者を問わず必ず損害賠償問題が発生します。特に、「保険未加入の自転車事故で加害者になった場合どう対応したらよいか」や「車両との事故で被害に遭ったが今後どのような賠償がうけられるか」等という相談が数多く寄せられます。
 ここでは損害賠償を受けられる(賠償しなければならない)基準についてお話をしたいと思います。

人身事故の損害賠償対象の範囲

 賠償は一時的被害(相当因果関係があるもの)が、事故の発生日から医師が認定する症状固定日までの間の、「治療費、入通院看護費、入院雑費、通院交通費、休業補償、慰謝料」等が対象で、これを傷害部分賠償と言います。
 また症状固定時に後遺症が残った場合は、後遺症として後遺症部分の賠償が別枠で受けられます。この場合、当人や担当医師が後遺症だと言っても賠償は受けられず、損害保険料率算出機構と言う組織において後遺症(後遺障害の程度により1級から14級に区分される)が何級に該当するのかの審査を受けなければなりません。そこで認定された等級に基づいて、後遺症により仕事の能率が落ちた賠償の逸失利益と慰謝料が賠償されます。

損害賠償基準

 損害賠償を受ける(賠償する)ための基準となるのは、一般的に自賠責保険(強制保険)、任意保険という2つの基準に区分されます。以下、それぞれの基準について説明します。
(1)自賠責保険
自賠責保険は、交通事故の被害者を救済するため国が作った保険制度で、加入が義務付けられているため強制保険と言われます。保険料が安く、広く賠償が受けられます。ただし賠償額は傷害で120万円、死亡は3,000万円、後遺症は等級により75万円から4,000万円が上限になります。
(2)任意保険
任意保険は、自賠責保険に対して上積み保険と言われ、通常、自動車保険、個人賠償保険と言われているものです。自賠責保険の賠償金では賠償額が足りない時に、不足分を保険会社の約款に基づいて支払うことになります。

個別損害賠償の考え方

(1)傷害部分として
治療費は実費です。賠償の中では治療費が占めるウェートが大きいため、治療費を抑止する必要から健康保険の使用をお勧めします。ただし健康保険を使用する場合、あらかじめ病院等の医療機関に申し出る必要があり、
  • 国民健康保険の場合は、区役所の国民健康保険課給付係に「第三者行為による傷病届け」を提出し、交通事故による傷害治療に使用する手続き
  • 社会保険の場合は、会社の保険事務担当者を通じて手続き
を行う必要があります。
 入通院看護費は、看護の必要を要するかが問題になります。また12歳以下の子供が怪我をして親が付き添った場合は賠償の対象になります。
 入院雑費は、入院時のテレビ視聴や通信費、付添者の交通費等として賠償されます。
 通院交通費は、実費で原則としてバス、電車などの公共乗り物の運賃です。タクシーは乗る必要性が問題になります。あくまで通院交通費ですから通勤や私用に使用は認められません。
 休業補償は、原則として休業中に給料が支払われないか減額になったことが条件になります。そのため休業証明書の提出を求められますが、その証明書が提出できない主婦は、自賠責保険の支払い基準で定められた基準による賠償となります。個人経営者は確定申告書等からの算出された額が基準となり賠償されます。
 慰謝料は、精神的、肉体的な痛み等、目に見えない損害の賠償で、自賠責保険では入通院の日数で、任意保険は、入通院期間で計算されます。
(2)後遺症部分として
 慰謝料は、傷害部分の慰謝料と別の慰謝料が認められます。
 逸失利益は、後遺症の程度により仕事の能率が落ちた分を平均労働期間の67歳までを賠償するものです。但し後遺症の程度で期間が短くなったりします。
(3)損害賠償請求の期限
 保険請求の期限は事故発生日から3年以内です。後遺症の場合は症状固定日から3年です(但し平成22年3月以前の事故の場合、自賠責保険への請求は2年です)。
 症状固定により損害額が確定してから保険会社に請求したらよいと思います。

物損事故の損害賠償基準

 物損の損害には「修理代、代車代(修理を要する期間)、見積書代、写真代」等があります。特に物の修理は、時価額と修理費の安いほうが対象になります。そこで事故に遭ったからといって新しいものを要求しても無理な要求になります。

過失割合

 被害者から請求があると、請求金額から被害者の過失分を減額した金額が賠償されます。過失割合は通常、過去の裁判例を統計化した東京地方裁判所が発行する「判例タイムス」に定められた基準によって、自己過失分が減額されることになります。

自転車に関する保険

自転車事故で加害者になった場合、任意に契約している自動車保険や火災保険などの特約として個人賠償が付加されている場合がありますので、保険証券や約款を確認したり、保険会社に問い合わせしたりして、契約内容を一度確認することが必要です。損害賠償の交渉では保険の有無が大きく影響してきます。

おわりに

各損害について説明をしてきましたが、損害賠償には、それぞれの賠償項目ごとに賠償額を算出する計算方法がありますので、保険会社から損害賠償額の提示があり、その内容に不明な点や疑問点があった場合は、交通事故相談所に相談される事をお勧めします。

交通安全ジャーナル2011年2月号から抜粋
知ってるよ いつもの道でも みぎ ひだり 免許証を 返す勇気が ふせぐ事故 歩道では 歩行者優先 忘れずに シートベルト 必ず締めよう 全座席 許しません 飲んで乗る人 飲ます人 運転は あごひもしめて 気もしめて 一台の 駐車が招く 事故・渋滞