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活動の内容

交通事故と関係のないペットの「預け費用」も損害賠償請求できるのか?(2015年12月)

はじめに

 近年は、ペットブームで、犬・猫その他動物等を飼っているご家庭が多く見受けられます。そこで、飼い主が交通事故に遭い入院等を余儀なくされ、飼育が困難となった場合、交通事故に全く関係のないペットを 預けたことによるその費用について、損害賠償として請求できるのか、今回は、「ペットの預け費用」について、東京地裁(平成25年1月25日)の判例を紹介します。
 

事案の概要等

(1)停止した原告(被害者)車に対し、時速35km〜40kmで走行していた被告(加害者)車が、追突したもの。
(2)原告は、本件事故により、頚椎捻挫・腰椎捻挫・背部捻挫・頭部打撲・左臀部打撲等の負傷を負い入院治療を余儀なくされた。
(3)原告は、事故当時自宅でペット(ヘビ5匹、ネズミ4頭)を飼育しており、事故で入院を余儀なくされペットの世話が困難となり、ヘビはJペットクリニックに、ネズミはペットホテルKに預けて費用を負担した。
 

原告(被害者)の主張

 原告は、本件事故により、受傷のため入院を余儀なくされたことから、上記ペットを動物病院やペットホテルに預けることとなった。
(1)ペットの世話をするには相当の体力を要するところ(毎日二時間くらい水や餌やりのため、しゃがんだり立ったりしなければならず、肉体的労働の面が強い。)原告は、入院により筋力が相当萎えてしまい、平成21年11月24日にB病院を退院した後、しばらくは自力でペットの世話をすることが困難な状況にあった。
(2)原告は、ヘビ5匹を預けたJペットクリニックには同年11月29日に引き取りに行き、ネズミ4頭を預けたペットホテルKには、同年12月22日に引き取りに行ったものであり、ペットホテル等を利用した期間は合理的である。
 したがって、原告が支出したペット預け費用合計100万1,760円は、本件事故と相当因果関係がある。
 

被告(加害者)の主張

 原告(被害者)の入院は、原告の希望によるもので、入院中も度々外出しており、退院時には症状は軽快し軽作業が可能な状態であり、就労制限・禁止期間は、平成21年11月24日ころまでであって退院時には、ペットの飼育が可能であった。
 したがって、被告らが負担すべきペットの預け費用は、同年11月24日までの72万円である。
 

裁判所の判断

(1)原告は、本件事故当時、自宅でペット(ヘビ5匹、ネズミ4頭)を飼育していたところ、本件事故により負傷のため、ペットの世話が困難となり、ヘビについては、平成21年10月26日から同年11月29日までの間、日額17,000円でJペットクリニックに預け、その費用として612,000円負担し、また、ネズミは、同年10月23日から同年12月22日までの間、日額6.000円でペットホテルKに預け、フード代等含め389,760円を負担したことが認められる。
(2)原告は、入院により筋力が相当萎えてしまい、病院から退院した後しばらくは、自力でペットの世話をすることが困難な状態にあったと主張するが、しかしながら病院の担当医師は、同年11月24日の退院時点で原告の症状がかなり改善しており、日常生活動作に支障はないと判断していた。
(3)ヘビの飼育にはそれほど手間はかからず、ネズミは1日2回の清掃が必要だが、その時間は合わせて1時間程度であり、力が必要な作業ではないことを考慮すると、原告は退院時にはペットの飼育が可能な状態であったというべきであり、本件事故と相当因果関係のあるペット預け費用は、B病院から退院した翌日の平成21年11月25日までと認めるのが相当である。
(4)その金額は、
 ア Jペットクリニック分が、同年10月26日から同年11月25日までの31日分の527,000円(17.000円×31日)
 イ ペットホテルK分が、同年10月23日から同年11月25日まで33日分の210,000円(6,000円×33泊+レイトチェックイン時間外手数料2,000円+消費税)の合計737,000円と認められる。
 なお、ペットホテルに対して支払ったフード代は、ペットホテルに預けなくとも飼育に必要であったものであるから、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。
 

おわりに

人身損害における損害賠償には、財産的損害と精神的損害に分類され
(1)財産的損害は、積極損害と消極損害に分類されます。
 ア 積極損害〜交通事故により、実際に支出又は支出することとなる損害(治療費関係、交通費関係、葬儀関係費等)
 イ 消極損害〜交通事故に遭わなければ得られたであろう利益が得られなくなったことによる損害。(休業損害、逸失利益等)
(2)精神的損害は、精神的苦痛に対するてん補として、(入通院慰謝料、後遺症慰謝料、死亡慰謝料等)があります。
 今回の判例では、ペットの「預け費用」については、積極損害(財産的損害)として認めらておりますが、損害賠償は、いわゆる目に見える損害だけではなく、被害に遭うことにより生じるさまざまな損害が発生します。
 交通事故でお困りの方は、交通事故相談所等にご相談してはいかがでしょうか。
 
※参考文献
不法行為法研究会編「交通事故民事裁判例集」第46巻第1号
(ぎょうせい)
交通安全ジャーナル2015年12月号から抜粋

 
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